ガラスと人類の歴史はかなり古いお付き合いと言えそうです。ガラス利用の歴史は非常に古く、たとえば石器時代に黒曜石を矢じりやナイフとして使用していたことも、ガラスの利用と考えることができます。ガラスが割れると鋭利な刃物のようになる性質を、大昔から人類は利用していたというわけですね。特に青銅器が登場し広く普及していく以前の時代では、さまざまな場所で黒曜石の交易品と思われるものが出土しています。
その後文明が進むと、ガラスは装飾品として利用され始めます。当時ガラスは単体ではまく、陶磁器製品などの中に装飾の一部として利用されることが多かったと言えるでしょう。
実際に現代のように大量のガラスが生産されるようになるには、当初は原料となる砂や石灰などを摂氏1200度以上の高温で溶解させなければならないため、ガラス工房は森林をその燃料として利用し、樹木を使い切ると移動を余儀なくされていたようです。その後石炭や石油が燃料となることで、安定した生産が行われるようになっていきます。
ガラスの主要な利用法として、窓ガラスは非常に大きなポジションといえます。紀元前1世紀ごろには、ごく一部の特殊な建築物の窓にガラスがはめ込まれるようになりましたが、それはまだ一般的な使い方ではありませんでした。しかしこのころから行わるようになった吹きガラス製品は、現代のガラス工芸でも使われる重要な技術です。
その後5世紀ごろには板ガラスが登場し、そまざまな製品に加工することも可能になっていきました。はじめて平らなガラスが一般化したといっても良いかもしれません。
その後ガラスは彩色されるようになり、ステンドグラスが登場します。今でも有名なヴェネツィアガラスなどが名を馳せたのもこのころのことです。
現代は技術の飛躍的な進歩によって、安価で高品質なガラスが生産されるようになりました。材料も工夫が施され、次々に新製品が開発されているのです。